ぎっくり腰(急性腰痛)
目次
ぎっくり腰(急性腰痛)とは
ぎっくり腰は、正式には急性腰痛と呼ばれ、急に激しい痛みが起こり、痛みのあまり動けなくなることが多くあります。欧米では、その激しい痛みから「魔女の一撃」とも呼ばれています。
ぎっくり腰の特徴
重いものを持ち上げたとき、くしゃみをしたとき、体をひねった時などの日常の何気ない動作から急激な痛みが起こります。
特徴としては以下があげられます。
急激に発症する腰痛
- 動作によって痛みが悪化する
- 明らかな神経症状や麻痺などを合併しない
- レントゲンやMRIではっきりとした異常所見が無い
- 比較的短期間で治るもの
ぎっくり腰は突然の激しい痛みに襲われ、動けなくなりますが、多くの場合は1~2週間程度で自然に回復していきます。
ぎっくり腰には2種類ある
ぎっくり腰は痛みの程度や炎症の有無により、大きくは2種類に分けられます。それにより、対処法も変わってきますので、ぎっくり腰になったら、どちらの段階なのか、理解することがとても大事になります。
炎症が強い場合のぎっくり腰
一つ目は炎症が強く、痛みも強い状態です。動くのがとても辛く、歩くのも困難で、座っていても辛い状態です。
この場合には、炎症が強いためマッサージやカイロプラクティックで出来ることはほとんどありません。とにかく痛い患部を冷やして安静にしてもらい、動けるようになるのを待つしかありません。
炎症が強くて動けない場合、お風呂に入って温めると炎症が悪化するため、とにかく冷やす必要があります。無理をせずに楽な姿勢でいる事が重要です。必要な場合にはコルセットを使用していたいただく必要もあります。そして、炎症が落ち着いて、動けるようになったらマッサージやカイロプラクティックの施術の適用になります。
炎症が弱い場合のぎっくり腰
二つ目は強い痛みはあるものの、まだ動くことができる状態です。
痛くて動くのも辛いですが、動いている方がましな場合です。炎症がそこまで強くない可能性があり、筋肉の過緊張やバランスの悪さで痛みが出ている可能性もあります。カイロプラクティックの施術での改善の余地がある状態です。
強い痛みはあるものの動くことができる場合、炎症がある場合とない場合があります。炎症がある場合には冷やしていただくと楽になり、温めると悪化する傾向にあります。
逆に炎症が無い場合には、温めると痛みが和らぎます。この場合には、安静にするよりも動ける範囲内で動いていただいたほうが、症状が楽になりやすいです。コルセットをつけたほうが楽な場合には、コルセットを使用しながら動いていただく事も必要です。可能であればストレッチをしていただいても大丈夫です。
ぎっくり腰になってしまったら
炎症の有無を確認するために、まず患部を冷やしてみて、痛みが楽になるような場合には炎症がある可能性が高いので、なるべく無理をしないほうがいい状態です。冷やしても痛みに変化がない場合には、温めていただき、これで楽になるようですと炎症はない可能性が高いので、動ける範囲で動いていただくことをおすすめします。
アイシングの方法
アイシングをする場合には、市販の湿布を使いますが、炎症が強い場合には、それではなかなか痛みが治まらない場合があります。
そんな場合には、保冷剤を濡れタオルにくるんで、痛い部分にあてます。
冷やしていて感覚がなくなってきたら、一度冷やすのをやめます。1分ほどすると感覚が戻ってくるので、そうしたら、また冷やします。このサイクルを10~15分程繰り返します。
その後、冷やすのをやめて1時間ほど様子を見ていただき、また痛みが強い状態でしたら、また冷やすというサイクルを10~15分続けます。
強い炎症は通常48~72時間(2~3日)続きますので、その間は出来る限りアイシングをしていただく事をおすすめします。
なぜ、ぎっくり腰になるのか
腰に問題のない人はぎっくり腰になりません。
デスクワークなどの同じ姿勢での作業により、普段から腰が固まっていて、柔軟性が少なくなっているとぎっくり腰になるリスクが高くなります。
腰以外にも背中や股関節、足関節などの柔軟性や可動域が悪いとぎっくり腰になりやすいです。逆に言うと体が正常に動いていればぎっくり腰になる事はありません。体がちゃんと動いている状態でいる事が大切なのです。
なぜぎっくり腰を繰り返すのか
ぎっくり腰の強い痛みの原因は、炎症によるものです。筋肉や筋膜、靭帯などの組織が傷ついてしまい、そこで炎症が起こり強い痛みがでます。
炎症は時間が経てば徐々に治まっていき、それに伴って痛みも落ち着いてきます。しかし、炎症が治まっても、元々の身体の柔軟性の低下などの根本的な原因が残っています。そのため、時間が経ってから、何かのきっかけでぎっくり腰を繰り返してしまうのです。
カイロプラクティックで出来ること
カイロプラクティックは整形外科と違い、痛み止めの注射を打ったり、痛み止めの薬や湿布薬を処方することは出来ません。そのため、炎症に対してアプローチすることができないため、強い痛みを鎮めることは出来ません。
しかし、強い痛みをかばって硬くなってしまった筋肉や関節に対してアプローチすることで、少しでも楽な姿勢が出来るようになったり、腰をサポートするお手伝いができます。
また、ぎっくり腰の原因となった、筋肉の柔軟性の低下や関節の可動域の低下に対しては、カイロプラクティックの得意分野です。痛みのあるうちは、対症療法的な施術がメインになりますが、痛みが落ち着いてきたら根本的な施術を行っていきます。
ぎっくり腰でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
その痛み、実は別の病気かも
腰痛が重い病気のサインの場合もありますので、注意が必要な場合があります。
筋骨格系からくる痛みには特徴があります。1~2週間しても痛みに変化がない場合や、体の動きによって痛みの変化がない場合などは、内臓からの痛みの場合があるため、病院に受信していただき検査を受けて頂く必要があります。以下は、ぎっくり腰と間違えやすい病気の特徴です。
大動脈瘤
お腹の中を通る大動脈の血管の壁が弱くなり、一部が異常に広がってしまったり、こぶが出来てしまう病気です。
この大動脈瘤が破裂すると背中や腰に突然の激しい痛みが現れるため、ぎっくり腰と間違われやすい病気です。
60歳以上の男性でタバコを吸う人や、コレステロール値が高い人に目立つ病気で、命にかかわる出血なので、急いで救急車を呼ぶ必要があります。
虫垂炎
いわゆる「盲腸」と言われるものです。
典型的な症状は、吐き気、嘔吐、右下腹部のさすような痛みです。
しかし、人によって多少の身体の症状の違いがあるため、腰が痛くなったりする場合もあります。
骨粗しょう症
骨密度が低くなり、背骨の骨が弱くなり、骨折してしまうことがあります。
そうすると背中に鋭い痛みを感じることがあります。
骨折を繰り返すことで、背中が丸まり身長が縮みます。
背中に痛みがあり、この1年ほどで背が縮んだと感じる方は注意が必要です。
腎結石
尿に含まれる化学物質が固まってできる硬い物質で、体の外に排出される時が一番痛いです。
痛みはまず、胸の一番下、脇か背中のあたりに鋭い刺すような痛みを感じます。そこから徐々に痛みが移動して、生殖器のあたりにまで動きます。
その他の症状として、血尿、吐き気、嘔吐、発熱などがあります。