あぐらをかくと足がしびれる
2020.07.27
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あぐらをかくと足がしびれる原因とその施術法を解説します!
最近、「あぐらをかいてると足がしびれる。」という方がよく来院されます。
みなさん、「坐骨神経痛ですか?」「脊柱管狭窄症ですか?」「ヘルニアだから?」と不安そうです。
確かにこれらの病名にの症状の中で足のしびれは起こりますが、もっと単純な問題がほとんどです。それについて解説していきます。
膝から下(下腿)のふくらはぎや足の甲のしびれの場合の原因とその施術法
原因:1番考えられるのは、血管の圧迫による血流の低下
あぐらをかくと膝を深く曲げます。当然、膝の裏の血管(膝窩動脈/後脛骨動脈/前脛骨動脈)や神経(脛骨神経/総腓骨神経/伏在神経)は圧迫されます。
→①血流が悪くなる。血液は酸素を供給しているので筋肉繊維や細胞が酸欠になる。
→②単純に筋肉の酸欠でしびれる。
神経も血流によって酸素を供給されているので、末梢神経が酸欠になって危険信号が発せられる。
→③生体防御反応としての神経的な足のしびれ。
施術法:そもそも血管や神経を圧迫しているのは筋肉の硬さ
座っていると足がしびれる患者さんのほとんどは筋肉の柔軟性がなくなっています。筋肉は伸び縮み(収縮と弛緩)するものですが、その患者さんの筋肉は伸びも縮みも上手くできない状態です。施術する場所は、椅子に座っていて常に圧迫されている大腿後面や外側の筋肉が主になります。また、それらの拮抗筋にもアプローチを行います。
大殿筋、ハムストリング、腓腹筋、足底筋、前・後脛骨筋など、様々な筋肉の機能を改善するための施術が必要です。さらに、大腿前面や鼠径部を施術し、股関節周りの筋肉の柔軟性や関節の可動域を改善することも必要です。
▼詳しくは「股関節の硬さ」についてを参照してください。
当院では、筋肉の柔軟性と機能を回復するために、筋肉をほぐして滑走不全を改善させることはもちろん、筋膜リリース療法、滑液包の癒着への施術、ストレッチ、関節の矯正などをおこない症状の緩和を目指します。
椎間板ヘルニアが原因で、あぐらをかいて足がしびれる?
あぐらの姿勢は通常、椎間板ヘルニアの症状が楽になる姿勢なので可能性はとても低いと考えられます。ヘルニアで神経が圧迫されているためにしびれが出ているなら、日常生活のいろいろな場面でしびれや痛みを感じているはずです。
坐骨神経痛が原因で、あぐらをかくと足がしびれる?
梨状筋症候群による足のしびれなら可能性はあります。しかし両側にしびれを感じているなら可能性は低いです。通常、梨状筋症候群は一側性(片足)におこります。
脊柱管狭窄症が原因で、あぐらをかくと足がしびれる?
脊柱管狭窄症特有の症状で間欠性跛行というものがあり、これはしばらく歩いていると腰や足の痛みやしびれで歩けなくなり、しばらく腰を丸めて休んでいると症状が緩和し、また歩けるようになることで、細切れでしか歩けないことを言います。
ですので、あぐらで腰を丸めて座っている姿勢は、間欠性跛行をともなう脊柱管狭窄症が楽になる体勢なのでやはり可能性は低いです。
関節痛(仙腸関節症候群)による可能性
これが最初に説明した筋肉の固さで血管が圧迫され、酸欠によりしびれるの次に可能性があります。
仙腸関節はあまり動かない関節ですが、可動域が少ないために一旦ズレたり、ひずみが起きるととても不快な痛みやそれに伴う関連痛で悩まされます。
また、股関節の柔軟性がない方が、あぐらをかくと仙腸関節に大きな物理的なストレスがかかります。
反復していると仙腸関節の慢性的な捻挫に進行することがあります。
他に考えられる隠れた疾患(動脈硬化症)
筋肉の柔軟性が低下しただけでなく、そもそも血管が硬くなる動脈硬化症があると血流の低下は起こりやすくなります。このことからも動脈硬化症の潜在的要因でもある糖尿病や高脂血症などの予防や、動脈硬化症の延長線にある循環器系疾患の心筋梗塞、脳梗塞、動脈乖離などを医療機関で検査をすることも大切です。
※可能性は低いかもしれませんが、しっかりと除外すべきことです。
当院での施術例
当院で施術を受けられた患者さん(28歳男性)の一例です。
<問診>
いつ頃からかは覚えていないのですが、腰を反らすと痛みを感じるようになりました。ぎっくり腰などをした経験もないのに、最近この腰痛が抜けません。またあぐらをかくと右の太ももの付け根から、太ももの外側にかけてしびれを感じます。趣味でゴルフをしています。
<初診時の症状>
①腰を反らしたときの右腰痛。
②右に首を向けたときの右首の痛み。
③あぐらをかくと右足の外側がしびれる感じがする。
<施術後の経過>
1回目の施術では、腰痛と足のしびれに対するアプローチとして、腰の筋肉の硬さと股関節の可動域の悪さに対する施術を行っていきました。施術後には腰痛と足のしびれの50%が改善されました。2回目の来院時には前回の施術の効果が残っており、さらに状態をよくするために継続してアプローチを行いました。そうすることで2回目の施術の後には、腰痛と足のしびれを感じないところまで行きました。また施術後には、腰痛予防の体操と、股関節まわりを柔らかくするストレッチを指導して実践してもらいました。。
<担当カイロプラクターのコメント>
腰痛は関節から、足のしびれ感は股関節の筋肉の硬さが原因で下半身の血流が悪くなることで起こる問題でした。この方は筋力は十分でしたが、体の柔軟性がいま一つだったため、積極的に体操やストレッチを実践して頂いてスムーズに改善へと向かうことが出来ました。日頃から運動不足のようなので、どんどんと趣味のゴルフをしてもらうことと、月に1度は体のメンテナンスをすることをオススメしました。